偶然の出会い
3月21日の今日、ヨーロッパの旅を終えアイルランドに帰ってきました。
もうすぐ帰国なのでこの旅での出来事は皆さんに直接お話しできると思いますが、
その中で最も印象に残っている出来事をご紹介したいと思います。
イタリアのボローニャという都市に訪れたときのことです。
偶然と偶然が重なって、まるでドラマのような素敵な出会いがありました。
ところで今回のヨーロッパの旅はヨンタクとの2人旅でした。
私たちはボローニャの前に居たヴェローナという街で身の危険を感じたこともあり、
(黒人数人のグループが私たちを標的にしていた・・・ヨンタク談、私はこういうことには
鈍感なので全く気付かず、ヨンタクの話を聞くうちにそれはやばいと恐くなった)
ヴェローナ駅構内で明朝の電車を待つという計画をあきらめ、ボローニャまでその日の
晩のうちに行くことにし、そこで宿を探すことになりました。
ヨーロッパでは嬉しいことに若者向けの宿泊施設、ユースホステルが沢山あり、大体
20ユーロ、高くても25ユーロ位で宿を見つけることが出来ます。
しかしこのボローニャという町を訪れたのは午後11時を過ぎた頃だったので、この
安宿探しに私たちは大変苦労しました。そのボローニャのメインストリートにある三ツ星
ホテルを訪れたときのこと。歩き回ってもホステルが全く見つからず、ホテルの受付で
値段交渉していた私たちを見ていた年配の日本人男性がこう声を掛けてくれました。
「日本人かい?安い宿を探しているんだったら友達がインターネットしているから探して
あげるよ。」
私は最初断ったのですが、「おいで、おいで」というその日本人男性の親切心の押しの
強さにむしろ断ることの方が逆に失礼のように感じ、ありがたくお言葉に甘えることに
しました。さて、その親切な男性、話を聞くと楽器を演奏するのが仕事でオーケストラで
今ヨーロッパを周っているとのこと。オーケストラだからホテルにも団体で泊まっていて
メンバーはなんと160名。それはロビーにも当然たくさん友達が居るはずです。
ロビーに居た外人の男性(オーケストラの仲間)がインターネットで安宿を検索してくれ
ましたが結局お目当てのホステルは見つからず、安い宿も市街地からかなり離れて
いることが判りました。その方は街外れのホテルに電話してくれたりと、とても親切な
方で最終的にホステルは見つかりませんでしたが、私たちはお世話になったその方に
お礼を言ってそのホテルを後にしました。そして、そこから少し歩いたところに2つ星の
ホテルがあり、0時を過ぎたチェックインということ、朝食は要らないなどと交渉し、35
ユーロで宿を見つけることが出来ました。
私はこのホテルがさっき寄ったホテルのすぐ近くだったこともあり、宿が見つかったので
「ありがとうございました」と一言先ほどの男性に挨拶だけでもしておこうと思い、前の
ホテルに寄るとその男性はロビーで一人ビールを飲んでいました。私がお礼を言うと、
どうして韓国人と日本人が一緒に旅をしているのかと聞かれ、私が理由を答えると
「そりゃ素晴らしいね」とおっしゃって、そこから話が咲き何がどうなったのか、
その男性は「明日のコンサートのリハーサルを見においでよ」と私たちを誘ってください
ました。そこで私はローマに急ぐ必要もあり、何度も丁重にお断りしたのですが、また
この男性の押しの強さに断ることのほうが失礼に感じ、再度お言葉に甘えることに
しました。
次の日。
10時にホテルの前で待っていた私たちの前に現れたその男性は前日と変わらず、
飾らない性格で(前日、お酒に酔った勢いで誘ったという訳ではなかったようです)、
11時半にリハーサルが始まるのでまだ、少し時間があるからコーヒーでも飲もうと
カフェに連れて行ってくださり、またその代金もおごってくださいました。
私は最初にお話したとき、アイルランドの学校で英語を勉強していると言っただけで、
私自身の身の上は、実は学生ではなく社会人であるということを言いだすタイミングが
見つからず、結局その男性は私をヨンタクと一緒くらいの年で学生と勘違いしていたの
だと思います。
事前に聞いていたオーケストラで楽器の演奏をしているという
ことでも、まあそれはそれなりにすごい方なのだろうと思っていた
のですが、その会場の雰囲気に素人の私たちでもこれはプロフェッショナル、
一流の集団で、只者ではないと判ったからです。
クラシックなぞ聞いたことのない私でもそのリハーサルの迫力に圧倒されましたし、また
その音楽に感動しました。それにしてもヨンタクは器が大きいのか何なのか、終始かし
こまって緊張して鑑賞している私とは違って、ゆったりと構えて聞いていました。
私が鑑賞するときには足を組まない方がいいんじゃないかと言うと、
「ユキオ、音楽はリラックスして楽しんで聞くものなんだ」と説明するくらいです。
まあ彼のお父さんはサックスを吹くのがプロ級とのことだし、本人もピアノを弾けるのと
伝統的な韓国の太鼓を演奏するのが特技なので、彼が言うのが本当なのでしょう。
とにかく私はびっくりし、また感動し、とても貴重な経験をすることができました。
さてそのとてもお世話になったその日本人男性。
後でお名前と連絡先をうかがっていたのでネットで調べてみるとやっぱり思った通り!
北里孝浩さんといい、年120回近くものコンサートをこなし、外国ではTaka.Kitazato
という名で知られている世界的に有名なオーボエ奏者の方です。
なんともイタリアの田舎町でたまたま偶然出会った、日本人男性が知る人ぞ知る高名な
方で私はとてもびっくりしました。しかもリハーサルを鑑賞させてもらうという貴重な経験
をさせていただいて、このヨーロッパの旅は生涯忘れられないものとなりました。
最後までは私は学生ではなく社会人ということが言えずじまいでしたが、帰国後に
お世話になった御礼のお手紙を書こうと思っていますので、そのときに身の上を
明かしたいと思います。(笑)
北里さん、本当にありがとうございました。
明後日の3月24日、日本に帰国します。
それではこの続きは日本でまた・・・・
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